ジーネックス株式会社が従来の遺伝子検査と一線を画す新サービス「ジーネックスの全ゲノム検査」の提供を開始
この記事の目次
『ジーネックスの全ゲノム検査』、難病を疑う個人へのサービスを開始
医師による診断をサポートする遺伝子解析レポートを3万円台で提供
サービスの特長
- DNAに含まれる約30億の「A、G、T、C」塩基すべての配列を調べ、誰もが持つ数百万箇所の遺伝的な個性を検出。今後の技術革新や新たな知見の集積を反映した再解析にも対応可能。
- 遺伝的な個性の中に、専門家が「病的」と評価する特徴的な塩基配列があるかを調べて詳細に報告。国の指定難病に関連するリスク因子には特に付加情報を充実して医療への橋渡しを支援。
- いつどこでも身体に負担なく唾液で検査でき、個人に手の届く価格設定。
遺伝子解析の技術は成熟し、今や誰もが自身のすべての遺伝情報(全ゲノム情報)を得ることができます。その一方で、解析結果が示唆する病気の発症リスクを「知る権利・知らないでいる権利」や、知ること自体に伴う精神的負担や家族への影響など、倫理的・法的・社会的な観点での総意形成はいまだ途上にあります。そのため、研究や医療の限られた機会を除き、自身の判断でより多くの情報を得て行動したい層—例えば難病を疑う個人や患者家族—のニーズを充分に満たすサービスはこれまでありませんでした。
ジーネックスは、こうした自身の全ゲノム情報を切実に得たい18歳以上の個人が直接申し込み、難病・希少疾患の遺伝的リスクを知ることができる新たな検査サービスの受付を開始しました。サービス内容に納得して同意した利用者は、唾液を採取して送付すると、数か月後に遺伝子解析レポートを受け取れます(図1)。レポートでは、検出された遺伝的な個性のうち疾患に関わる情報に、詳しく分かりやすい説明がなされます(図2)。もし主治医の先生ら医師が利用者を診察し、関連疾患の罹患を疑えば、別途、診断に必要な検査へと歩を進めることができます(ジーネックスの検査は消費者向け遺伝⼦検査であり、診療の⽤に供する検査ではありません)。
▼『ジーネックスの全ゲノム検査』ご紹介ページ
本サービスの差別化要素を3つ挙げると、1つ目は、結果の透明性です。そもそも遺伝子解析でエラーは不可避で、まして個人の運命の予言など到底できません。専門家の評価すら研究の進展により変わり得ます。ジーネックスは限界をわきまえ、医師も診断に迷う難病・希少疾患を重視して情報をまとめます。その際、情報がどれだけ確からしいか判断するためのデータを添え、必要に応じて再解析にも対応します。全ゲノムを対象に、こうした裏打ちある情報・データを利用者本人へ報告するサービスは本邦初の試みです*。 *2022年12月19日現在 当社調べ
2つ目は、質の高さと活用のしやすさです。ジーネックスは指定難病のひとつであるミトコンドリア病で国内第一線の難病研究班と共同研究を行うなど、高い専門性を有します。さらに、これまで半年間にわたり患者参加型の実証事業を進め、「主治医に検査結果を見せたい」などの患者会から聴取したニーズに応え続けています。
そして3つ目は、負担の少なさです。検査は唾液を郵送するだけで、採血や生検をせずに完結するため、近くに拠点病院がない地方にお住まいの方や、身体的な負担を避けたい方にも朗報です。また、類似の検査が10万円超~数十万円の価格帯にある中で、費用の補助を得づらい方にもお求めやすい3万円台に価格を設定しました。
以上の特長あるサービスの品質確保のため、開始記念価格でのご提供は先着100名限定といたします(~2023年3月末予定)。ジーネックスの全ゲノム検査は、不安を抱えるあなたとあなたの大切な人へ、信頼に足る情報を誠実にお届けします。
社会課題解決のために
患者が少ない難病・希少疾患では、適切な専門医にたどり着いて診断確定に至るまで、時に何年もかかります。診断過程では通常、まず各種検査を行い、その「後」に医師が絞りに絞り込んだ対象に限って遺伝情報を取得します。それをジーネックスは医療に入る「前」、いわば「ちょうどよい前さばき」の位置付けで全ゲノム情報を活用できないかと考えました。すなわち、医学的判断を伴わない範囲で客観的に疑い得る疾患候補を洗い出し、その後の(医療における)検査~診断確定を効率化する、という考え方です(図3)。
診断を含むゲノム医療は「医療と研究」のはざまにあり、多忙な医師・研究者が限られた資金と人員を投入して成り立っているのが現状です。幸い、遺伝情報による差別・不利益防止の法整備の議論が加速し、地域格差を埋める一助となるオンライン診療の普及が始まるなど、ゲノム医療をめぐる社会的な環境整備が進んでいます。国・自治体が保険医療をカバーしつつ、事業会社も医療を取り巻く付加サービスの選択肢を用意できれば、潜在的な便益がある人々への福音になるとともに、医療・研究のリソース配分の適正化にもつながります。
ジーネックスは「個人が自らのデータを持ち、考え、行動する」社会を見据え、この診断支援分野を皮切りに、ゲノム情報利活用の社会実装と健全な環境醸成で慎重な先駆者となる所存です。事業の社会的意義にご賛同くださる患者会、クリニック・医療機関、疾患啓発にかかわる企業・団体などからのご連絡をお待ちしています。
解説図
利用者はジーネックスウェブサイトにアクセスし、文書と動画からなるサービスの説明に納得すれば、そのままオンラインで同意書に署名し、クレジットカードまたは銀行振込で支払いを行います。その後、郵送で届くキットに唾液を採取して、同封された返信用封筒で唾液を送ります。ジーネックスは遺伝子解析の結果をレポートにまとめ、利用者へ報告します。利用者は、検査結果をもとに自身の状況に応じて行動へとつなげます(遺伝外来や主治医への相談などを想定)。その際、不安に思うことや相談したいことがある場合は希望に応じて遺伝カウンセリングを受けることができます。
遺伝子解析レポートには、利用者で検出された遺伝的な個性(バリアント)のうち疾患に関わる情報が詳しく分かりやすく説明されています。図の例では、バリアントの染色体上の位置、塩基配列、読み取り精度に関する情報、関連する遺伝子名、関連する症状・疾患の名前と遺伝形式、臨床的意義、日本人における珍しさの尺度、専門情報へのリンクなどが記されています。(図はダミーデータでのデモ画面であり、実際のレポートでは内容やレイアウトが変わることがあります。)
『ジーネックスの全ゲノム検査』は、消費者向け遺伝子検査の枠組みで医療への橋渡しを支援する新たな試みです。診断確定のために医療として実施する高精度・ハイコストな検査とは性質を異にして、必要十分な精度管理と倫理的・法的・社会的課題への配慮を備えた「ちょうどよい前さばき」を行うことで、難病・希少疾患の社会課題解決を目指します。
ジーネックス株式会社について
ジーネックスは、ゲノムおよびヘルスケアに関するデータプラットフォームの企画・運営を事業内容として2019年8月に設立された、マネックスグループ株式会社、株式会社スギ薬局、科研製薬株式会社、他を株主とするスタートアップです。
<以上>
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