ベネッセ/【小学生の読書に関する実態調査・研究】読書は「知識」と「思考力」の両方を伸ばす コロナ禍における子どもたちの心の安定にも効果

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 株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山市、代表取締役社長:小林 仁)の社内シンクタンク、ベネッセ教育総合研究所では、進研ゼミが提供する会員向け電子書籍サービス「電子図書館まなびライブラリー」(追加受講費なしでご利用可能)の読書履歴データをもとに、読書が子どもの学習や生活におよぼす影響を調査・研究しています。
 今回は、過年度までの研究を踏まえ、読書が国語の知識や思考力といった多様な資質・能力の形成にどのような効果を持つのかを検証することを目的に、小学5年生から6年生の1年間にわたる「読書履歴データ」と「実力テストの結果」に加えて、「アンケート調査」を組み合わせた分析を行いました。
【主な分析結果】
① 読書の量(冊数)は、国語の「知識」と「思考力」のいずれの力にもプラスの効果

●本を多く読んでいる子どもほどテストの偏差値の変化にプラスの効果があった。その傾向は、漢字や文法などの「知識問題」だけでなく、思考力を問うような「読解問題」(物語文・説明文の読解)や「挑戦問題」(日常生活場面での問題解決)のいずれにおいても同様にみられる(図1※1)。読書は知識の獲得に有効なだけでなく思考力などの多様な資質・能力を高めていることがわかる。
※1:図は資料編に掲載、以下同様。

② 本を多く読んでいる子どもは、読み方を工夫し、読書の効果を実感
●本を多く読んでいる子どもほど「最初から最後まできちんと読む」「気になったところを読み返す」「登場人物の気持ちになりながら読む」など、読み方を工夫している(図2-1)。
●本を多く読んでいる子どもは、「長い文章を読めるようになった」「新しいことを知ることができた」「興味のあることが増えた」「知っている漢字や言葉が増えた」など、自分でも読書の効果を実感している(図2-2)。

③ 読書は、夢中になる体験や心理的な安定につながっている
●本を多く読んでいる子どもほど、本を読んでいて「時間がたつのを忘れるくらい夢中になる」「心が落ち着く」を肯定する比率が高い。コロナ禍で心の健康について報じられる機会が増えているが、読書は、楽しみを広げ、気持ちの面でも大切な存在となっていることがわかる。(図3)。

 今回は、継続的に得られたデータの分析により、読書が子どもの学習や生活にさまざまなプラス効果をもつ可能性を示すことができました。ベネッセ教育総合研究所では、引き続き、読書が子どもたちにどのような影響をもつかについて研究してまいります。

               

【資料編:研究概要・データ・解説】

【研究枠組み・分析データ】

 

  • 分析①:読書の量(冊数)は、国語の「知識」と「思考力」のいずれの力にもプラスの効果

●図1 国語の「知識問題」「読解問題」「挑戦問題」の偏差値の変化(1年前の学力×読書量別)
本を多く読んでいる子どもほどテストの偏差値の変化にプラスの効果があった。その傾向は、漢字や文法などの「知識問題」だけでなく、思考力を問うような「読解問題」(物語文・説明文の読解)や「挑戦問題」(日常生活場面での問題解決)のいずれにおいても同様にみられる。

*もともとの学力が低いと偏差値が上がる確率が高く、もともとの学力が高いと偏差値が下がる確率が高いため、5年生8月の実力テストで平均点未満のグループを「学力の低い子ども」、平均点以上のグループを「学力の高い子ども」とに分けて、数値を算出した。
*偏差値は、『進研ゼミ』の「実力テスト」の国語の結果。1年前(5年生8月)の偏差値の高低ごとに、【5年生8月】(2019年)の偏差値から【6年生8月】(2020年)の偏差値への変化を、「読書をしなかった子ども」(読書「無」)の変化を「0」(基準)として差を示した。
*いずれも、p<0.001(分散分析)。

 

  • 分析②:本を多く読んでいる子どもは、読み方を工夫し、読書の効果を実感

●図2-1 本の読み方(読書量別)
本を多く読んでいる子どもほど「最初から最後まできちんと読む」「気になったところを読み返す」「登場人物の気持ちになりながら読む」など、読み方を工夫している。

*「あなたが本を読むとき、次のことはどれくらいあてはまりますか」とたずねた結果。
* アンケート調査はまなびライブラリー利用者を対象にしており、「無(0冊)」の回答者が少数であったため、図から省略した。

●図2-2 読書の効果実感(読書量別)
本を多く読んでいる子どもは、「長い文章を読めるようになった」「新しいことを知ることができた」「興味のあることが増えた」「知っている漢字や言葉が増えた」など、自分でも読書の効果を実感している。

*「本を読んでいて、次のことをどれくらい感じますか」とたずねた結果。
* アンケート調査はまなびライブラリー利用者を対象にしており、「無(0冊)」の回答者が少数であったため、図から省略した。

 

  • 分析③:読書は、夢中になる体験や心理的な安定につながっている

●図3 読書に関する経験(読書量別)
本を多く読んでいる子どもほど、本を読んでいて「時間がたつのを忘れるくらい夢中になる」「心が落ち着く」を肯定する比率が高い。

*「本を読んでいて、次のようなことはどれくらいあてはまりますか」とたずねた結果。「とてもあてはまる」の%。
* アンケート調査はまなびライブラリー利用者を対象とし、「無(0冊)」の回答者が少数であったため、図から省略した。

【まとめ】
 ベネッセ教育総合研究所では、2018年度に読書の量が算数の学力に与える影響を、2019年度に読書のジャンルが社会科の学力に与える影響を検証し、その結果を発表しました。そこで今回(2020年度)は、国語の多様な資質・能力の形成に読書がどのような効果を持つのかを検証することにしました。これからの社会では、知識や技能の獲得だけでなく、それらをもとに自分で考え、判断して行動していくことがますます必要になります。2020年度から始まった新しい学習指導要領でもこうした点が重視されています。そのため、知識だけでなく、思考力の形成にどのような効果があるかを明らかにしようと、国語の実力テストの問題を「知識問題」「読解問題」「挑戦問題」にわけて分析を行いました。

 読書履歴と実力テストのデータからは、読書の量(冊数)が国語の「知識問題」だけでなく、「読解問題」や「挑戦問題」などの思考力を問う問題の偏差値にもプラスの効果をもつという結果が得られました。読書は「知識」と「思考力」の両面で、その向上や維持に効果を持っている可能性が示唆されました。
 つづけて、読書の量(冊数)で分けたグループごとに、本の読み方や効果実感を検討しました。その結果、本に親しんでいる子どもは、単にたくさんの本を読むというだけでなく、読み方を工夫したり、自分に役に立つことを理解したりしていることがわかりました。そのことが実力テストの偏差値の変化に反映している可能性があります。
 最後に、読書に関する経験をたずねた回答からは、読書が学習面にとどまらず、夢中になる体験になったり、心理面での安定につながったりしていることが明らかになりました。コロナ禍で体験を広げることが難しく、情緒面での不安定さも抱えやすい状況にあって、読書は子どもの成長により重要な役割を果たしていくものと思われます。

 ベネッセ教育総合研究所では、引き続き、子どもそれぞれの状況に応じた読書のあり方、読書が子どもの多様な資質・能力の形成にどのような影響をもつのかについて研究を深め、明らかになったことを社会に発信して、子どもたちのよりよい読書環境づくりに役立てていきます。

【ベネッセ教育総合研究所】

 ベネッセ教育総合研究所は1980年に発足した株式会社ベネッセコーポレーションの社内シンクタンクです。子ども、保護者、学校・教員を対象に、様々な調査・研究を行っております。また教育内容や方法、評価測定などについても研究開発を進めています。調査・研究で得られた知見は、ベネッセ教育総合研究所のWebサイト(https://berd.benesse.jp/)にて公開し、子どもの成長・発達を取り巻く環境の改善に役立てていくように情報発信を行っています。

以下のWebサイトから、過去の分析や今回の分析に関連する資料をダウンロードできます。
https://berd.benesse.jp/special/bigdata/ebookanalysis.php

【電子図書館まなびライブラリー】

 進研ゼミ会員は誰でも自由に使える、電子書籍サービス(https://benesse.jp/zemi/library/)。ネットワークがつながる環境とデバイスがあれば、いつでも、どこでも自由に、常時1000冊を追加受講費なしに読むことができます。このような使い勝手のよさから、サービス開始から5周年を迎えた2020年度には登録者数が100万人を突破、2021年1月現在では約106万人まで伸長し、1か月あたり約60万人が利用しています。コロナによる休校や自粛のなか、4月~この1月の利用者は昨年比で約1.6倍※へと大幅に増加。
書籍の貸出数も約2.2倍※の約3,001万冊へと膨らみました。コロナ禍にあって、子どもたちの「本を読みたい!」ニーズに応えた、一般の(紙の)書籍とともに重要な読書機会になっています。
※2019年・2020年の4月度~1月度を比較したものです。

■参考
【『進研ゼミ』の「実力テスト」の例】

 

 

 

 

 

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