ESGサイト格付け「サステナビリティサイト・アワード2022」を発表

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ESGサイト格付け「サステナビリティサイト・アワード2022」を発表

一般社団法人サステナビリティコミュニケーション協会がESGサイト格付け「サステナビリティサイト・アワード2022」を発表

上位はライオン、日立製作所、ヤマハ発動機など–国内全上場企業のサステナビリティサイトを調査

サステナビリティ情報開示に関する調査およびコンサルティングを行っている一般社団法人サステナビリティコミュニケーション協会(旧名称:CSRコミュニケーション協会、代表理事:安藤光展)は、ウェブサイトの情報充実度で格付けした「サステナビリティサイト・アワード2022」(以下、本アワード)を本日発表したのでお知らせします。

アワード概要

本アワードは、当協会が上場企業のサステナビリティ・ウェブサイト(以下、サイト)での、サステナビリティ情報開示の実態調査を目的として、2017年に日本で初めてのサイト総合調査および格付けとして発表してから毎年行っており、今回で6回目となります。現在においても、国内全上場企業のサイト総合調査を行なっているのは当協会だけです。

本アワードは、国内全上場企業および非上場大手企業のサイトにおいて、開示上で重要な8つの視点にそって情報充実度調査を実施し、総合的に優れたサイトを全体の上位約1%を目処に「ゴールド(最優秀賞)」「シルバー(優秀賞)」「ブロンズ(優良賞)」のクラスで表彰しています。今年の受賞企業は以下の通りです。

表彰企業(順不同)

◯ゴールド(6社)

ライオン、ヤマハ発動機、三菱地所、大成建設、日本製鉄、日立製作所

◯シルバー(11社)

DIC、SUBARU、TDK、ソフトバンク、ジェイ エフ イー ホールディングス、ベネッセホールディングス、出光興産、日本碍子、日本水産、日本電信電話、日本郵船

◯ブロンズ(25社)

ANAホールディングス、LIXIL、りそなホールディングス、オリエンタルランド、カシオ計算機、リコージャパン、サンゲツ、ニコン、ブラザー工業、ブリヂストン、ローム、コニカミノルタ、ダイキン工業、旭化成、丸井グループ、三井化学、石油資源開発、綜合警備保障、大建工業、第一生命ホールディングス、凸版印刷、富士通、三井住友トラスト・ホールディングス、野村不動産ホールディングス、東洋紡

総評

今回は、全上場企業が注目すべきゴールド受賞企業は6社となりました。ゴールドは総入れ替えになる変動がありましたが、日立製作所はシルバーから、ライオン・大成建設はブロンズからのランクアップとなり、着実に評価を高めてきた企業もありました。

前回調査から引き続き今回も「トップメッセージ」の評価重要度(評価ウェイト)を高くしています。当協会では非財務情報(定性情報)で最も重要なコンテンツの一つだと考えているからです。たとえばIIRC「IRフレームワーク」にある6つの資本と価値創造モデルをどんなに語っても、トップが能動的なメッセージを出せない企業に実効性はない、とすら考えています。また、統合報告書およびサステナビリティレポートでは充実したトップメッセージがあるのに、サイトには掲載しない企業も一定数あり、サイトの方がステークホルダーとの接点が多く、企業の思いが伝えられないのは非常に残念に思います。

例年に増して「SDGs」をコンテンツ名とする企業がありました。SDGsをコンテンツタイトルにしたり、コンテンツの軸にする企業は中小中堅企業を含めて確実に増えています。2021年で複数のトレンド格付けや流行語でSDGsが挙げられ、企業も社会の潮流に合わせたこともあるでしょう。しかし、SDGs自体は本来、企業のフレームワークですらありませんので、情報開示フレームワークとしては適切とは言えません。SDGsを活用するにしてもESGとの整合性を高めるなど工夫が求められます。

これは全体的な傾向ですが、コーポレートサイトの中で「社会・環境情報」「社会貢献活動」「SDGs」というコンテンツ名を使っている企業で、評価の高い企業は1社もありませんでした。評価の高い企業の多くは「ESG」「サステナビリティ」という、より広い概念のワードをコンテンツ名に使っていました。コンテンツの定義は、社内調整の問題もあるとは思いますが、見直しが必要なタイミングになってきている、と言えるでしょう。

あと、最近顕著な傾向として「サイトのIR化」があります。サステナビリティ分野のウェブコンテンツはマルチステークホルダー向けとする企業は多いものの、実際に訪問するのは投資家・評価機関・専門家などの関係者であるため、消費者などライトな層に向けたコンテンツ作りではなく、サイトもIR要素を強くした構成や内容にする潮流です。時価総額が高い企業やESG企業評価を上げたい企業の場合が多く、特にESG投資の大きな潮流が生まれたここ2年くらいでの変化です。しかし、そうなるとIRウェブコンテンツとの差異が小さくなるため、サイトとの差異を明確にし、ユーザーの情報ニーズに応えられる構成を目指す必要がありますので注意が必要です。

また、2021年は、IIRC「IRフレームワーク」の改訂から始まり、東証コーポレートガバナンス・コード改訂、GRIスタンダードやTCFDの改訂、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)の開示プロトコル発表、VRF(価値報告財団)「統合思考原則」の発表、など非財務情報開示のフレームワーク/ガイドラインに動きがありました。

2022年以降、特に2023年1月から発効のものもあり、サイト構成もグルーバル・ルールに合わせる必要もあり、サイト管理担当者には2022年は近年稀に見る変化の年と言えるかもしれません。そのため、今回の順位が来年も大きな変化があると予想されます。しかし根本的な対応方法などはなく、定期的にステークホルダーからフィードバックを得ながら、どれだけ地道な改善をするか、というプロセスを継続できるかが問われます。

本アワードの上位企業のサイトを参考にしながら、よりステークホルダーに企業価値を理解していたいただけるサイト作りをしていきましょう。本調査結果を中心とした報告会(セミナー)は以下からご確認ください。

>>サステナビリティ情報開示勉強会(2022年2月9日)
https://susb0209.peatix.com/

コメント:安藤光展(本アワード審査員長、サステナビリティコミュニケーション協会・代表理事)

■調査実施概要
◯調査コンセプト
ステークホルダー(ユーザー)および開示ガイドライン等が求めるサイトに必要な情報充実度を調査。

◯調査対象
国内全上場企業(2021年6月30日時点)および大手非上場企業の合計4,049社の、コーポレートサイトおよび特設サイトのサステナビリティ/CSR/SDGs/ESG/CSV/社会・環境などに関する総合的に説明された日本語のコンテンツ・ページが調査対象。コーポレートガバナンス・環境・社会貢献(慈善活動・企業寄付など)などに関する単独ページ、IRサイト、採用サイト、ECサイト、商品サイト/ブランドサイト/キャンペーンサイト、統合報告書およびサステナビリティレポート/CSR報告書/社会・環境報告書などのPDF、電子ブック、動画、は調査対象外。

◯調査期間
2021年8月1日〜2021年12月15日(期間内で内容変更があった場合は更新前の状態で評価している場合あり)

◯調査手順
1. 一次選考:対象企業において主要8テーマで情報充実度評価をし基準を満たした企業を抽出(106社抽出)
2. 二次選考:抽出された企業を評価基準にそってスコアリングしランキング化してノミネート
3. 最終選考:ノミネート企業を格付要件に照らし合わせて絞り込みアワード受賞企業を選定

◯評価手法
調査対象企業へのヒアリングやアンケート調査はなく、サイトの公開情報のみを専門知識を持つアナリストが目視で評価基準にそって評価。ホールディングスが調査対象の場合はホールディングス自体のサイトを評価。関連会社等へのリンクや情報開示がある場合はそれらの情報を考慮。個別企業ごとで個別項目の定量的な比較分析はしてない。財務評価による減点はしない。なお、行政処分等を受けたもしくはそれに準じる不祥事を起こしたと判断される企業は二次選考で省いているため、高評価企業でも一部企業はランク外となっている。

◯評価項目
サイトに必要な8テーマ(280以上の評価要素)を基準に実施。評価要素の選定方法は、世界で最も参照されているマルチステークホルダー視点による社会的責任の開示ガイドライン「GRIスタンダード:2016」を中心に、サステナビリティ・レポーティングに関連するその他の国際的ガイドライン、国内外のESG評価機関の評価項目、サステナビリティに関連する格付け・アワード・ランキングの評価項目、国内外の関連イニシアティブの重要項目、国内の官公庁および証券取引所の推奨開示項目、各種民間調査によるステークホルダーの情報ニーズの高い項目、そのほか世界の潮流・動向等も参照し選定。評価要素は社会の変化に合わせ毎年見直しを行なっており、信頼性の高い機関が認識する社会課題を注視し、評価体系をアップデートしサステナビリティ評価におけるグローバルトレンドとの整合性を高めている。

◯評価テーマ
1. トップメッセージ:組織のサステナビリティに対する姿勢が理解できるだけの具体的な情報が十分にある
2. 戦略:組織の戦略的な取り組みに関して見識を提供する具体的な情報が十分にある
3. リスクと機会:組織のリスクと機会に関する目標と進捗度の具体的な情報が十分にある
4. ステークホルダーエンゲージメント:エンゲージメント活動の具体的な情報が十分にある
5. 目標と実績:ステークホルダーが組織のパフォーマンスを評価できる具体的な情報が十分にある
6. 企業情報とガバナンス:ステークホルダーが組織を理解するための情報が十分にある
7. ウェブアクセシビリティ:ステークホルダーのユーザー体験を阻害しないサイト構成である
8. サイト特性:サステナビリティ報告で求められる原則に対応したサイト構成である

◯アワード格付要件
・ゴールド(最優秀賞)
1. 各情報が具体的かつ網羅的に開示されサイト自体の完成度が極めて高い
2. ステークホルダーの情報ニーズを満たす開示が十分に行われている
3. 他の企業のサイトの模範となる品質である

・シルバー(優秀賞)
1. 「ゴールド」には至らないもののサイトとして求められる要素が十分にある
2. ステークホルダーの情報ニーズを満たす開示が十分に行われている
3. 他の企業のサイトの模範となる品質である

・ブロンズ(優良賞)
1. 「シルバー」には至らないもののサイトとして求められる要素が十分にある
2. 他の企業のサイトの模範となる品質である

■補足情報
◯フォローアップ勉強会
本アワードの内容に関する勉強会を行います。どなたでもお申し込みいただけます。企業担当者だけではなくサイトおよびレポートの制作会社の方にもオススメです。280項目以上の評価項目一覧も配布します。

>>サステナビリティ情報開示勉強会(2022年2月9日)
https://susb0209.peatix.com/

◯当協会について
一般社団法人サステナビリティコミュニケーション協会(旧名称:CSRコミュニケーション協会)は、サステナビリティ情報開示に関する調査およびコンサルティング事業を通じ、日本企業のサステナビリティコミュニケーションの品質向上支援および啓発・普及・促進を行い、健全で持続可能な社会・経済の発展に貢献する支援活動を行っています。
URL: https://sustainability.or.jp 

■本件に関するお問合せ
サステナビリティコミュニケーション協会 サイト調査事務局
問合せフォーム: https://sustainability.or.jp/contact/ 

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SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、「地球上の誰一人取り残さない」ことを基本理念として、2015年9月に国連に加盟する全ての国が全会一致で採択した、17のゴールと169のターゲットから構成された国際目標です。
2030年までの達成を目指して、国・自治体・企業や団体などがSDGsの目標およびターゲットとしてゴールを設定した「SDGs宣言」を策定および公表し、様々な取組みを行っています。 中小企業においても、社会的なSDGsへの取り組みに対する関心の高まりから、企業イメージの向上や新たな事業機会の創出につながりを見据え、多くの企業がSDGsへの取り組みを推進しています。
SDGsへの取り組みについて厳密な取り決めはないので、どこから始めどのように進めてよいかわからないと思います。 SDGsに取り組む方法やメリットやデメリット、中小企業での必要性など詳しくは「SDGs宣言の方法やメリット、許可や例文」で解説しています。
SDGsの目標や取り組み内容を決め、SDGs宣言を策定して公表することで対外的にアピールする方法については、「SDGs宣言の公表とアピール方法」で解説しています。
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VOIX編集部 小川望海

VOIX編集部のライフ/SDGs担当ディレクターとして活動中。大手広告代理店に在籍していたこたともあり、情報感度には自信あり。
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