イケア・ジャパン株式会社のAIテクノロジーとスマートスケールを活用した食品廃棄物削減の取り組み
この記事の目次
イケア・ジャパン、食品廃棄物50%削減の目標を早期に達成 2022年7月時点で削減率62%、173,409食分相当の節約
- Ingkaグループのイケア店舗全体で掲げる「2022年末までに食品廃棄物発生量50%削減」の目標に対し、1年前倒しでの達成にイケア・ジャパンも貢献しています。** これは、2030年までにサーキュラー&クライメートポジティブ***(循環型社会と気候変動に対してポジティブな影響を及ぼすこと)を実現するというイケアの目標に寄与しています。
- 食品廃棄物は、AIテクノロジーとスマートスケールを用いて廃棄物と廃棄理由のデータを収集しながら、測定、記録しています。
- Ingkaグループは、避けようのない食品廃棄物をエネルギーと栄養分に変換するソリューションも研究しテストしています。
世界では、生産、収穫された全食品のおよそ3分の1が廃棄処分となり、それにより世界の温室効果ガス排出量の8〜10%を排出しています 。イケアでの食品廃棄物を50%削減するというゴールは、2030年までにサーキュラー&クライメートポジティブを実現するというイケアの目標の一環として、2017年に世界的に設定されました。
イケア ・ジャパンは国内の12店舗で年間1,200万人以上に料理を提供しており、コワーカー(従業員)の意識とテクノロジーを結び付けることで、食品廃棄物の問題に対処する機会を見いだしました。
成果をもたらした主な要因は、イケアの親会社であるIngkaグループとWinnow Solutions社のパートナーシップによるAIの活用と包括的なコワーカーのトレーニングプログラムの実施です。イケアでは、食品廃棄物削減につながるAIツール「Winnow Vision」を導入し、スウェーデンレストラン、スウェーデンビストロ、スウェーデンフードマーケット、社員食堂で食品廃棄物を測定し記録しています。収集されたデータは、コワーカーが廃棄物と廃棄理由についてより深く理解し、キッチンにおける食品廃棄を防ぎ、食品廃棄物を削減するのに役立ちます。今後は、お客さまがスウェーデンレストランなどをご利用する際の廃棄食品削減に向けた取り組みも検討しています。
今回の成果について、イケア ・ジャパン カントリーフードマネジャー佐川季由は、「日本では2019年10月1日に『食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)』が施行され、ここ数年で食品廃棄物に対する社会的関心も高まっています。イケアは、ビジネスを2030年までにピープル・アンド・プラネット・ポジティブにする取り組みを行っており、その一貫として、2022年末までにグローバルで食品廃棄量を半分にする目標を掲げ、日本でもこの目標を達成することができました。イケア・ジャパンでは、各店舗キッチンエリアのAIツール導入の他にも、IKEA新宿では量り売りでのフード商品の提供を行っています。イケアは、食品廃棄はあってはならないと考え、今後も食品廃棄削減に取り組んでいきます。」と述べています。
IKEA新宿のスウェーデンバイツでは、イケアミートボールなどのデリ商品を量り売りで提供しており、お客さまが必要な分だけを購入できるため、食品廃棄量削減に貢献します。
IngkaグループとInter IKEAによって世界で着手されているほかの食品廃棄物削減の取り組みは、以下の通りです。
Too Good to Goとのパートナーシップ
Ingkaグループは食品廃棄物をなくすことを目指すアプリ、Too Good to Goと契約を結びました。このアプリによって、ベルギー、フランス、イタリア、オーストリア、スイス、ノルウェーのお客さまはIKEA Foodのアウトレットで余剰食品を割引価格で購入できます。2022年3月のIKEA UK & Irelandほか、今後さらに多くの国々で契約する予定です。
食品廃棄物のエネルギーへの変換
オランダのIKEA Haarlemでは、スウェーデンレストランやスウェーデンビストロでの避けようのない食品廃棄物をバイオガスに変換する、店舗設置型の嫌気性消化装置をテストしています。このバイオガスは電気と熱に変換されます。それを直接店舗に戻し、サーキュラー(循環型)ループをつくることが目標です。テストでは、食品廃棄物の栄養分を植物栽培****の栄養剤として用いる有機肥料に変換する方法も探求しています。
* Ingkaグループとしては、2022年7月末時点で、2090万食以上を節約、36,000トンのCO2を削減しました。
参考動画:https://player.vimeo.com/video/751776736?h=3d3d6342fe
** Ingkaグループにおける食品廃棄物を50%まで削減するという目標は、2017年に設定されたベースラインと比較した全イケア店舗の総削減量として測定されています。2022年7月では食品廃棄物の削減率は54%(日本国内での削減率は62%)でした。なお、各国のベースラインはその地域の傾向などに応じて設定されているため、グローバルのものと異なります。
*** クライメートポジティブになることとは、ビジネスを成長させながら、2030年までに温室効果ガス(GHG)をバリューチェーンの排出量よりも多く削減することを意味します。また、パリ協定にも賛同し、世界の気温上昇を産業革命前と比べてプラス1.5°Cまでに抑える取り組みに尽力しています。これには、イケアのバリューチェーン全体でGHGの絶対排出量を2030年までに半減させる取り組みも含まれます。この取り組みを達成するため、科学的根拠に基づいた目標を設定してGHG排出量を大幅に減少させます。また、イケアのバリューチェーン内で森林や農業を適切に管理し、自然現象を通じて大気中から炭素を取り除き、土地、植物、製品に炭素を蓄えられるようにします。さらに、お客さまの家で再生可能エネルギーを生産できるようにするなど、イケア外にも目を向け、社会の温室効果ガスのさらなる削減をサポートします。イケアの取り組みについての詳細はこちら(https://about.ikea.com/en/sustainability/becoming-climate-positive)をご覧ください。
**** IKEA Haarlemのテストは2022年2月半ばに始まり、1年間行われる予定です。
Winnowについて
Winnow Solutions社は、AIツールを開発し、小売業者、ホテル、契約ケータリング業者、カジノ、クルーズなどの大規模な企業が、食品廃棄物を半分に削減することによって、より収益性を高め、サステナブルなキッチンを運営できるように支援しています。イケアとWinnowのパートナーシップでは、Winnow Visionの市場投入に尽力し、2019年にはIngkaグループの投資部門であるIngka InvestmentsがWinnowに少数投資を行いました。現在、Winnowのテクノロジーは50か国の1500か所に導入されており、年間4200万ドルを節減しています。これは3600万食に相当します。WinnowsはBコーポレーションに認定されており、業務用キッチンをつなぎ、シェフのムーブメントを巻き起こし、食品を無駄なく活用することを広めることをミッションとしています。
▼イケア・ジャパン 公式HP
▼イケア・ジャパン ニュースルーム
<以上>
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SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、「地球上の誰一人取り残さない」ことを基本理念として、2015年9月に国連に加盟する全ての国が全会一致で採択した、17のゴールと169のターゲットから構成された国際目標です。
2030年までの達成を目指して、国・自治体・企業や団体などがSDGsの目標およびターゲットとしてゴールを設定した「SDGs宣言」を策定および公表し、様々な取組みを行っています。 中小企業においても、社会的なSDGsへの取り組みに対する関心の高まりから、企業イメージの向上や新たな事業機会の創出につながりを見据え、多くの企業がSDGsへの取り組みを推進しています。
SDGsへの取り組みについて厳密な取り決めはないので、どこから始めどのように進めてよいかわからないと思います。 SDGsに取り組む方法やメリットやデメリット、中小企業での必要性など詳しくは「SDGs宣言の方法やメリット、許可や例文」で解説しています。
SDGsの目標や取り組み内容を決め、SDGs宣言を策定して公表することで対外的にアピールする方法については、「SDGs宣言の公表とアピール方法」で解説しています。
各企業ごとのSDGsへの取り組み状況の診断から進め方、SDGs宣言の策定、PR支援まで細かくサポートしてもらえる「SDGs支援サービス」を行っている金融機関も多いので、法人口座を開設している取引先銀行に相談してみるのも良い方法です。
※VOIXもSDGsの取り組みを行っています。
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VOIX編集部 小川望海
VOIX編集部のライフ/SDGs担当ディレクターとして活動中。大手広告代理店に在籍していたこたともあり、情報感度には自信あり。