一般社団法人 青少年STEM教育振興会/プログラミング体験教室 @八王子市立宮上小学校

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一般社団法人 青少年STEM教育振興会/プログラミング体験教室 @八王子市立宮上小学校

新型コロナウイルスによる不測の事態により、国内に限らず世界中で大勢の人が学校の再開を待ち望みました。実は日本では、今年4月から始まっている新学習指導要領に、このような状況下でも子供達が主体的に学習できることを目指した教育指針が組み込まれています。新型ウイルスによるパンデミックだけではなく気候変動による自然災害など、世界中で起きている社会問題は、今まで以上に困難を極め深刻な状況へと陥っています。またビッグデータの活用が加速しグローバル化が急速に進んだことにより、世界中のニュースまで瞬時に飛び込んでくるようになりました。その反面、積み上げてきた常識が覆され始め、持続可能な世の中を目的とした【進化】を求められる時代が訪れています。教育もその例外ではありません。今までと同じ教育理念に従っているだけでは、子供達は職を失うばかりだけではなく、次世代を担っていく人材の育成には結びつきません。
今回は、ある先進的な考えを持った一人の教師により、プログラミング体験教室を学校運営協議会主催のもと開催することができました。今はまだ稀なことですが、この事例を皮切りに導入が増え、全国に普及が進んでいくでしょう。
 

  1. 開催までの経緯
  2. まずは大人で実験
  3. 実習の目的
  4. プログラミング体験教室
  5. 次の一歩
  6. STEM教材について
  7. まとめ

1. 開催までの経緯
八王子市立宮上小学校に通う2人の6年生、和樹くんと勇我くんが、ロボットの世界大会に出場するため、担任の横倉圭先生に欠席を申請したことから物事が動き始めます。横倉圭先生は、ご自身の母校でもある市立の小学校に通う児童が、ロボットの国際大会に出場して、さらには外国人と戦略を練っている姿が逞しく写り、ただただ感動してしまったようです。すぐに伊藤慎敬校長に許可を申請するのですが、逆に校長からは「この様な世界大会に出場する生徒の活躍は、欠席でなく出席扱いです!宮上小学校の代表でもあります!」と言い渡され、横倉先生にとっては、眼から鱗が落ちるお気持ちだったそうです。そこで横倉先生は、この2人の児童たちが、どのように日本代表となり世界大会に出場することになったのか全貌を把握するため、保護者に世界大会出場に至った経緯や活動内容のヒアリングを始めました。子供達が没頭するロボット競技大会の理解を深めるにつれ、技術だけ競う一般的

に知られているロボコンではなく、世界中の教育者を魅了してやまないSTEM教育の教材であることを知ります。何を意図として子供達がロボットを製作し、そしてどのようにパソコンを使ってコンピューターサイエンスを学習しているかを知ることで、近い将来、クラブ活動として導入することを思い描いていただくようになりました。しかし、いくら先進的な教育とはいえ、「STEM教育」や「コンピューターサイエンス」、「世界大会」といった言葉が教育現場からかけ離れており、なかなか具現化するにはハードルが高すぎたようです。そんな中、2人の児童の保護者を通じて、同教材を使って【プログラミング体験教室】を無料で開催できることを知り、今回の開催に至ります。本体験教室は、新学習指導要領にも則していることから、公立の学校でも導入しやすく、またGIGAスクール構想を普及させる教材として相応しいことから、学校にとっては受け入れやすい内容でした。

2. まずは大人で実験
どんなに素晴らしい教材や理念であっても、教育現場にもそのまま導入されることはありません。特にコロナ禍の

 

教育現場は補習授業で時間に追われており、新しい教育を受け入れるだけの余裕はありません。しかしそのような

 

状況下でも、児童の公欠を快く承諾してくださった伊藤慎敬校長のアイデアで、先生一人一人に説明をする時間を

省き、実際に【プログラミング体験教室】を体験していただく時間が設けられました。10月下旬、総勢19人の先生が放課後の理科室に集まり体験教室に参加していただきました。体験教室の内容は児童たちに開催している内容と変わりません。結果的にほとんど全員の先生から、「楽しかった」、「これなら自分たちで教えられる」、「時間があったら導入したい」という感想をいただくことができ、後日子供達向けの募集を開始することができました。

3. 実習の目的
体験教室の教材はYSEが用意し、2〜3人のチームを組んでもらいます。最初から最後まで同じチームで活動し、ロボットの組み立てとプログラミングを行ってもらいます。本教室の主旨は、ロボット工学やソフトウエアの使い方を習うのが目的ではなく、主体的に課題に取り組んでもらうことを意図としているため、ロボットの組み立て方

やプログラミング方法を教えることはありません。ロボット製作に関しては、組立書を紹介し、プログラミングは、パソコンと作ったロボットの接続の仕方、あとはソフトウエアで前進させるプログラミング方法を教えるだけです。目標は、制限時間内に作ったロボットとプログラミングを駆使して、タイル上に用意されたA地点からB地点とC地点に移動し、またA地点に戻ってくるという課題をこなします。このプロセスを通じて、年齢に関係なく多くの参加者が主体的に学習でき、コンピューターサイエンスなど専門分野に興味を持つようになります。またグループで目標に向かう経験を通じて、ソーシャルスキルを育む切っ掛けづくりの場を提供することが可能になりました。

4. プログラミング体験教室
今回の募集では、4年生と5年生から32人の児童が集まってくれました。

3人チームが8組、2人チームが4組

 

で、こすもす学級の児童2人も参加してくれました。学校終了後、14時から続々と児童が理科室に集まり、予め割り振られたテーブルに着いてもらいます。スケジュールは下記の通り行いました。

14:30 学校運営協議会副委員長よりあいさつ
14:35 YSEよりプログラミングとミッションの説明
14:40 世界大会出場予定だった2人の児童より活動内容の紹介
14:45 ロボット製作開始
15:10 プログラミングの説明と実習
15:40 発表会
15:55 閉会式
16:00 解散
 

YSEからは、生活を取り巻く全ての機械を人間が制御している説明をし、その後、宇宙飛行士さながらの任務を説明します。通常はここから実習ですが、今回は今年の春に世界大会出場予定だった2人の児童に活動内容を紹介し

 

てもらいました。体験教室に参加した児童たちは、身近な先輩たちが経験している活動を喰い入るように聞いていました。集合から15分後に実習が始まり、一気に教室内に活気が溢れます。あちらこちらで「あーでもない」「こーでもない」という議論が始まり、ほとんどのチームが大人に質問することなく、チームメイトとロボット製作に没頭しました。もともとロボット製作には20分の時間を用意していましたが、制限時間内に緊張感と競争心を煽るため、時間に追われる工夫も施しました。ロボットが完成したチームから、パソコンとロボットの接続方法を説明し、ソフトウエアで前進するプログラミング方法を教えます。ミッションは真っ直ぐ走るだけではないので、戻るプログラミングが必要ですが、あえてバックや回転方法は教えません。児童たちは個々の経験や他のチームの方法を見て、ハンズオン方式で方法を模索し、短時間でプログラミングを施していきます。このように子供達が主体的になって学習させることを【スチューデント・センタード】と呼び、世界の教育現場のスタンダードになりつつあります。大人は子供の学ぶプロセスに口出しをせず、時間と場所を与える教育理念です。

発表会では、プログラミングまで完成することができた約半分のチームが、成果を発表してくれました。実質75分の体験教室でしたが、参加した児童にとっても、また見守る大人たちにとっても、普段では想像もできないそれぞれの何かを経験することができた貴重な時間だったと思います。

 

5. 次の一歩
【プログラミング体験教室】を経て、参加した児童たちにはそれぞれの思いが心に染みついたと思います。初めてのロボット製作やプログラミングで、コンピューターサイエンスに興味を抱いた児童は多かったのではないでしょ

うか?また他のプログラミング教材を使ったことがある児童は、実際に物理的なロボットを制御する楽しみを覚えたのではないでしょうか?もしかしたら、この体験教室が切っ掛けとなり、宇宙飛行士になる児童が将来現れるかもしれません。YSEでは、全国の学校と先生たちと協力をして、このような体験教室をできる環境づくりをしています。そして専門的なSTEM(科・技・工・数)学習に興味を持った子供たちの学習意欲を持続するために、今後、八王子市立宮上小学校では横倉先生を筆頭に、クラブ活動でVEX(ヴェックス)を取り入れていく予定です。

6. STEM教育について

6年生の和樹くんと勇我くんは、今年の4月にアメリカで行われるロボットの世界大会に出場予定でした。ところが新型コロナウイルスの猛威により大会はキャンセルになってしまいました。彼らが出場予定だった世界大会は、VEXというロボット教材を使用する競技大会で、競技大会自体も教育カリキュラムの一部になっています。その教育システムが時代に即した教育内容であることから、世界の教育現場で注目され、毎年参加人数が増え続けています。和樹くんと勇我くんは、教育関係の仕事をする和樹くんの父親の勧めで、一年前、このVEXを使った【プログラミング体験教室】に参加しました。最初は興味本位で始めた2人ですが、一年も経たない間にどっぷりとVEXに浸かってしまい、今ではロボット工学とコンピューターサイエンスに明け暮れた日々を過ごしています。VEXは子供達の学習に対する興味を最大限引き出す仕組みだけではなく、競技大会を通じて、チームワークやリーダーシップ、コミュニケーション力、プロジェクト遂行力、課題解決力、クリティカル・シンキングといったソーシャルスキルも経験させ育むことができます。そして場所も選ばず学習することができるため、コロナ禍における自宅待機中でも、和樹くんと勇我くんは今シーズンの競技テーマを攻略するために、オンライン上でもコミュニケーションを図りながらロボットの改造を繰り返し、構造や機構など、専門的なロボット工学とプログラミング制御によるコンピューターサイエンスを自主的に学習しています。

またその学習方法もSTEM教材としてVEXが特化していることを裏付けるように、和樹くんと勇我くんは、技術者や発明家さながらの問題解決方法を繰り返し学習し、エンジニアリングノートブックに記録を残しています。VEXの競技大会では、このエンジニアリングノートブックも審査基準に含まれています。海外では、クラブ活動の他に、和樹くんと勇我くんのように、自宅でガレージチームとして活動する子供たちも増えてきました。

7. まとめ
私たち大人がそうだったように、子供の頃の経験は人生を左右します。大袈裟なように聞こえますが、実際に子供達が経験する一回の【プログラミング体験教室】で、彼らに選択肢を与え、人生に影響を及ぼします。簡単に制限をしてしまうのは私たち大人ですが、機会を与えることができるのも私たち大人です。YSEでは、自ら問題を解決できる人材を育成するために、これからも活動を続けていきます。

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