株式会社⼀の坊 が東日本の温泉宿で初となる省エネ大賞を受賞
この記事の目次
CO2排出量42%削減、地球にやさしいサステナブルな温泉リゾートへ【東日本の温泉宿初!省エネ大賞受賞】
【宮城県・温泉リゾート 一の坊】温泉熱エネルギー利用など先進的な省エネ取組が評価「資源エネルギー庁長官賞」受賞
宮城県の「株式会社⼀の坊(イチノボウ)」(本社/宮城県仙台市 代表取締役 髙橋 弘行)は、2018年から実施している「快適エコ活動~地球にやさしい高付加価値な温泉リゾートの創造~」が経営改善につながる省エネルギー好事例として、「2023年度 省エネ大賞」を受賞しました。
「省エネ大賞」は東日本の温泉宿で初受賞、「資源エネルギー庁長官賞」は、全国の温泉宿で初受賞となります。
評価ポイント
- 「温泉の熱」を利用した温泉廃熱システム導入
- CO2排出量42%削減、エネルギー使用量37%削減
- 経営トップとスタッフが一体となり取り組んだ設備導入・運用改善
- オーダービュッフェスタイル導入によるフードロス削減など
名称 2023年度省エネ大賞 省エネ事例部門(CGO・企業等分野)
- 「資源エネルギー庁長官賞」
主催 一般財団法人 省エネルギーセンター(後援 経済産業省)
受賞対象 株式会社一の坊「経営トップと社員が一体となり取り組んだ持続可能な温泉リゾートの実現」
快適エコ活動による省エネ成果
宮城県にある「海と山と森の温泉リゾート 一の坊」。豊かな自然環境を守るために省エネに取り組み、その成果が今回の「2023年度省エネ大賞」受賞につながりました。
一の坊グループとして2018年から取り組んだ「快適エコ活動計画」実施前の2016年と、2022年との比較では、二酸化炭素排出量42%削減、エネルギー使用量37%削減の成果となっています。
「温泉の熱」エネルギーに着目
仙台・作並温泉ゆづくしSalon一の坊(センダイ・サクナミオンセン ユヅクシサロンイチノボウ)では、浴槽からあふれ出るなど活用されないまま廃棄されてしまう「温泉の熱」に着目、その熱エネルギーを回収し利用する温泉廃熱利用システムを導入しました。
客室露天風呂21か所と大浴場から廃棄されてしまう温泉の温度は35℃程度で、毎分90リットルにも及びます。
この廃棄されてしまう温泉を、二重管式熱交換器に通して熱回収し、浴槽保温のための加熱、貯湯槽補給水の予熱、冬季積雪時のロードヒーターなどに活用しています。
こうした廃湯の熱を使い切る工夫により、既設ボイラーの稼働を抑制し、重油使用量を大幅削減でき、再生可能エネルギーの活用と環境負荷の低減を実現しました。
社長が責任者を務める、快適エコ活動推進委員会
社長が責任者を務める「快適エコ活動推進委員会」を設置、全社一丸となってPDCAによりCO2削減に取り組むシステム構築し、建物や設備の省エネ化を推進しています。
快適エコ活動推進委員会「指針」
- お客様の快適性を損なわない
- 地球環境にやさしい再生可能エネルギー(温泉熱)の利用
- 全スタッフがエネルギーの無駄を自ら発見・改善・提案できる工夫
快適エコ活用による電気設備最適化の成果
- 循環ポンプのインバータ化(設備改修)エネルギー使用量(原油換算)の削減:58KL/年、電気使用料の削減:671万円/年
- 給湯機へのエネルギー転換(設備改修)エネルギー使用量(原油換算)の削減:114KL/年、A重油使用料の削減:798万円/年
- 空調の個別化(設備改修)エネルギー使用量(原油換算)の削減:235KL/年、電気使用料の削減:2,719万円/年
- 照明のLED化(設備改修)エネルギー使用量(原油換算)の削減:79KL/年、電気使用料の削減:913万円/年
- 施設利用スペースの見直し(設備運用)【推定値】エネルギー使用量(原油換算)の削減:477KL/年、電気使用料の削減:2,188万円/年
- スタッフの改善意識(設備運用)エネルギー使用量(原油換算)の削減:24KL/年、電気使用料の削減:240万円/年
- 成果の合計:987KLのエネルギー使用量削減、7,529万円の光熱費削減
「快適エコ活動」による、設備運用・スタッフの改善意識
設備改修だけではなく、スタッフが省エネ化を推進できる仕組み(設備運用)が評価されました。
客室空調の空調方式を中央方式から個別式に109台更新、お客様個々のニーズに合わせた客室温度設定によるお客様満足度向上とともに、集中リモコンによりスタッフは客室から離れた位置にいても空調機の個別管理可能となり、スタッフが温度調整・稼働時間を工夫して省エネ化を推進できるようになりました。
不必要な時間と場所でエネルギーが浪費されていないかを発見し、日々の業務を改善できる体制になりました(食器洗浄の仕方、調理の仕方、空調機の温度調整の仕方、照明の点灯消灯の仕方など)。
オーダービュッフェスタイル導入によるフードロス削減
食品の廃棄や在庫過多などの「フードロス問題」。
松島温泉松島一の坊、作並温泉ゆづくしSalon一の坊の食事提供スタイルは、お客様がオーダーをしてから調理を開始する「オーダービュッフェ」。出来たてのひとさらをお好きな順番で楽しむことができる食事スタイルです。
お客様からオーダーを受けてから目の前で調理、作り立てのひとさらを提供することで、自分が食べられる適正量で食べたいメニューのみをオーダーするため、個別提供や従来ビュッフェに比べて残食による食品ロスを大幅に削減することができます。
松島一の坊では、2019年度からオーダービュッフェスタイルの本格運用にともない、フードロスを36%削減。食材調理時に出てしまう食べられない部分とお客様の食べ残しを、食品リサイクルに活用できるよう分別し、協業組合松島清掃公社の食品リサイクルシステムで肥料化しています。
宮城や山形など地元の海で獲れたものや育てたものを消費することは、海洋資源や陸の資源の保護にもつながります。
また、地元食材を多く使用することによりフードマイレージ(食物を輸送する距離)も削減できるため、運搬におけるCO2削減などの環境負荷の低減にもつながっています。
経営トップと社員が一体となり取り組んだ“持続可能な温泉リゾート”の実現
省エネ推進のポイントは「理解を得ること」
他の企業の方から、すごいね!とたくさんお声がけいただいています。みなさん、SDGsには取り組みたいけどお金がかかる、経営者の理解が得られないなど悩みを抱えていて、一の坊がどのように取り組んできたのか、教えてほしいと言われます。九州の企業さんからも問い合わせがありました。とても嬉しいことです。
確かにコストはかかりますが、省エネ設備に投資したお金は、固定費(エネルギー費)の削減となって効果が表れます。この削減効果により、投資した費用を数年で回収することができます。社長をはじめ、各温泉リゾートのスタッフに理解いただくことで省エネ活動が継続でき、感謝しています。
SDGsに取り組む宿のロールモデルに
なかなか表立って出ることのない施設管理の仕事ですが、安心安全な施設運営を持続していくには、こつこつと古い設備の更新を続けていくことが大切だと思っています。終わりはないです。今回の受賞をきっかけに、SDGsの取り組みに特化した宿としてロールモデルになっていきたいと考えています。
省エネ大賞受賞に際し、ご協力いただきました皆様方に感謝申し上げますとともに、地球の恵みである温泉資源を無駄なく活用することで、「カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」に向け、地球環境にやさしいリゾートホテルの実現を目指しています。
「温泉という恵みを地球からもらう以上、環境に配慮する責任がある」と考え、今後は使用電力の再エネ率を高めていく方針です。
仙台・作並温泉 ゆづくしSalon一の坊
- 所在地 :宮城県仙台市青葉区作並字長原3
- 電話 :0570-05-3973(宿泊予約)
- チェックイン:15:00
- チェックアウト:11:00
- 公式HP:https://www.ichinobo.com/sakunami/
松島温泉 松島一の坊
- 所在地 :宮城県宮城郡松島町高城字浜1-4
- 電話 :0570-05-0240(宿泊予約)
- チェックイン:15:00
- チェックアウト:11:00
- 公式HP:https://www.ichinobo.com/matsushima/
株式会社一の坊
- 株式会社⼀の坊
- 〒980-0013 宮城県仙台市⻘葉区花京院2丁⽬1-10
- TEL:022-222-0178(平⽇ 11:00〜16:00)
- Mail:press@ichinobo.com
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SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、「地球上の誰一人取り残さない」ことを基本理念として、2015年9月に国連に加盟する全ての国が全会一致で採択した、17のゴールと169のターゲットから構成された国際目標です。
2030年までの達成を目指して、国・自治体・企業や団体などがSDGsの目標およびターゲットとしてゴールを設定した「SDGs宣言」を策定および公表し、様々な取組みを行っています。 中小企業においても、社会的なSDGsへの取り組みに対する関心の高まりから、企業イメージの向上や新たな事業機会の創出につながりを見据え、多くの企業がSDGsへの取り組みを推進しています。
SDGsへの取り組みについて厳密な取り決めはないので、どこから始めどのように進めてよいかわからないと思います。 SDGsに取り組む方法やメリットやデメリット、中小企業での必要性など詳しくは「SDGs宣言の方法やメリット、許可や例文」で解説しています。
SDGsの目標や取り組み内容を決め、SDGs宣言を策定して公表することで対外的にアピールする方法については、「SDGs宣言の公表とアピール方法」で解説しています。
各企業ごとのSDGsへの取り組み状況の診断から進め方、SDGs宣言の策定、PR支援まで細かくサポートしてもらえる「SDGs支援サービス」を行っている金融機関も多いので、法人口座を開設している取引先銀行に相談してみるのも良い方法です。
※VOIXもSDGsの取り組みを行っています。
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VOIX編集部 小川望海
VOIX編集部のライフ/SDGs担当ディレクターとして活動中。大手広告代理店に在籍していたこたともあり、情報感度には自信あり。