【Another works】リモートワーク時代の「複業」という生き方

VOIX編集部
another works

新型コロナウイルスの影響により、働き方や価値観に新たな変化が訪れようとしている。個人の価値観の変化から「複業」マッチングプラットフォームを運営する「Another works」への登録者数が急激に伸びているという。

今回はその急成長中の「株式会社Another works」の代表取締役CEO大林 尚朝さんに話を伺った。時勢や社会的な価値観の変化に伴うこれからのワークスタイルや複業で活躍する人材の特徴など興味深い内容となっている。

複業マッチングプラットフォーム「Another works」

ー まず「Another works」というサービスについてお聞かせください。

一言でいうと企業側が成約手数料を一切支払わずに一定額を支払うことで何人でも複業の人材を採用することのできる業界初の複業プラットフォームです。

anotherworks

企業はミニマム月約3万円から利用でき、すべての複業ワーカーに対してアプローチすることが可能です。特定の業種に限らず、営業・マーケッター、エンジニア、デザイナー、広報、人事などすべての職種の”タレント”に対して検索、スカウトを行いメッセージのやり取りを通じて採用までつなげることができます。

採用には一切の仲介会社を挟まず企業と複業ワーカーが直接行うので、従来の人材紹介サービスにあった成約手数料のような中間マージンを支払う必要がないというのも特徴です。

ー 複業ワーカーはどのように利用できるのでしょうか?

Another worksでは複業したい複業ワーカーやフリーランスの方々ことを”タレント”と呼んでいます。“タレント”の方々の利用は無料で、”タレント”側からもすべての企業の案件を探すことができ、メッセージを通じて能動的に業務委託案件、複業案件とつながることが可能です。

Another works タレント

また、「複業手当」というAnother works独自の福利厚生の充実にも力をいれています。複業している人、複業したい人に対して、Another worksに登録するだけで、お金、住居、学習、医療相談というサービスを無料もしくは安く利用できるようになるというメリットを提供しています。

これは僕らが掲げる「挑戦するすべての人の機会を最大化する」というミッションを実現するために導入している制度です。仕事をマッチングさせることの他に金銭面や健康面、学習面などを取り揃えてサポートすることが、挑戦する機会を最大化するために必要だと考えるためです。

個人が複業を行う利点:挑戦による成長と収入

ー 複業したい個人が企業と直接マッチングできるうえに、登録するだけで福利厚生まで受けられるというのは有り難いですね。登録した”タレント”の方々にとって「複業」はどのような利点を求めて行うのでしょうか?

大きく2つあると考えます。

一つ目が、本業を持ちながらリスクの少ない形で、スキルアップや成長機会を求めて新しい挑戦ができるという点。

日本では退職して独立してフリーランスになるというハードルが高いですが、本業でベーシックインカムを得ながら本当に自分のやりたい分野、伸ばしたいスキルにトライしたり、本業のスキルの再現性を確認したりすることで、今の環境を大きく変えることなく新しい挑戦を行うことができるというメリットがあると考えます。

二つ目が副収入。単純に目先の年収が上がることということが大きなメリットと言えますね。

私はそもそも複業をやるなら絶対に目的を明確にして行うべきだと思っていて、実際に自分自身もスキルアップと収入のアップを目的に複業をした過去があります。
そのときは起業のための資本金を集めるという目的にマーケティングの仕事を複業としてやっていました。その経験が今の自分につながっていると思います。

登録者数が2ヶ月半で約1.8倍に

ー 終身雇用制度が崩壊し、新型コロナウイルスの影響による雇用調整など安定性の見えない時代だからこそ個人の能力成長や複数の収入経路を持つことはリスクヘッジになるかもしれませんね。

新型コロナウイルスによる影響でいうと、Another worksでもリモートワークの需要が増えてきています。以前は複業の方でも出社を求められることが多かったのですが、今はリモートでもOKという企業が多いですね。

ー 複業したい”タレント”の登録者も増加しているのでしょうか?

リリースから約半年が経過した3月13日時点で累計5,000人を突破したのですが、在宅勤務が広がり始めてからさらに登録者が増加し、多いときでは1日100人を超える日もありました。5月29日時点で登録者数は約9,120人となっています。
この人数は広告を一切行わず、ニュースやブログ、口コミなどで話題にしていただき興味を持ってくださった方だけの数字なんです。

ー この在宅期間中に複業に興味を持った方も多いんですね。今後リモートワークの活用が進む中で複業はどのような意味を持つでしょうか?

本業も複業もリモートが中心という環境になってくると、働き手にとってますます本業と複業の境目がなくなってくるだろうなと思います。

また、アフターコロナの時代においては、企業側は固定費をシビアに見るようになるので、より個の力が必要になるだろうなということも感じます。

複業で活躍するには時間管理と素早いレスポンスが重要

ー 複業というとまさに個人のスキルが必要という印象がありますね。複業で活躍する人にはどのような共通点があるのでしょうか?

三つの共通点があると考えます。

一つが本業を複業に活かそうとする人。
例えば、サラリーマンの方などは「今やっている仕事が本当に複業に活かせるのか」と不安に考える方が結構多いのですが、実はその”本業でやっている仕事のスキルや経験”を求めている企業が本当に多いんです。

具体的に言うと、営業人材は複業で活躍しにくいと世間では思われがちなんですけど、Another worksではとてもニーズが強い傾向があります。
例えば本業での営業戦略・営業管理・営業ツールの活用方法の知識や特定の人脈を持っているだけでも、それを求めている企業は世の中にたくさんあり、それがその企業にとっては新しい価値を生むことになるんです。
自分の本業と複業の「点と点」を結びつけることができる人が活躍しています。

二つ目が複業の目的をしっかり決めている人。
芯がないと複業も本業もおろそかになってしまうことが多いので、目的をもつことが重要です。スキルアップのためや、目標とするお金が何万円必要なのかまで決めている人が活躍している印象です。

そして最後の三つ目の共通点は、レスポンスルールを決めており、かつレスの早い人ですね。
複業先の企業として不安に思いがちなのは、連絡がとりづらいことなんです。本業の業務時間があるのでどうしても時間のコントロールが難しくなりがちです。
連絡が遅くなりトラブルになるケースも多いので、複業にあてる時間帯やレスポンスのルールを明確に共有しておくことが重要だと考えます。

ースキルや経験はもちろんですが、事前に双方で時間や進行に対してのコミュニケーションを取り決めることが大切なんですね。これらはリモートワークで活躍する人にも当てはまるでしょうか?

はい。直接会ってコミュニケーションがとれない分、リモートワークの場合はさらにレスポンスに関するルールづくりが必要だと思います。

もう一つリモートワークで特に求められるのが、途中経過を逐一報告できる人。早期に信頼を勝ち取るために早め早めに連絡を入れていくことが重要ですね。

企業にとっても複業人材は大きなメリットが

ー 一方で企業側の目線で見たときに、複業人材を活用していく方法・メリットはどのようなものでしょうか?

企業側には大きく三つのメリットがあると思います。

一つ目はプロジェクト・スキルベースで即効性をもって仲間集めができること。
例えば、正社員の場合、欲しい人材を見つけてからオファーを出したとしても、実際は退職交渉などがあるので入社するまでに2,3ヶ月かかってしまうケースもあります。
一方で、複業の場合はすぐに必要な人材を採用することができます。

二つ目はプロボノ、いわゆる無料での参画も可能という点ですね。
正社員の方は本業からベーシックインカムとしてのお金をもらっているので、お金よりもスキルアップや成長、ひいてはそれによる市場価値の向上を目的とする場合も多いです。

複業として無償でベンチャー企業へ参画した実績や経験が、本業の転職活動の際にも評価を受けるケースもあり、実際に私たちの会社にも新しい言語の実践を目的に無償で参画しているエンジニアがいます。
企業側からはお金ではない経験や価値を提供しそれがお互いにとってwinwinになれば良いということですね。

そして三つ目は固定費ではなく変動費で即戦力を仲間にできること。
恐らくアフターコロナの状況下ではいかに固定費を下げられるかという変化が訪れると思います。プロジェクトに対し必要なタイミングで必要な費用を払えることは一つのメリットになると考えます。

※ Another worksは固定費として報酬を支払う企業を尊重する意図を持っており、決して良し悪しを論じているわけではないとのことです。また、その尊重の意図から、Another worksが複業人材をサポートする福利厚生サービス「複業手当」に力を入れているそうです。

Another worksが予測する10年後の働き方

ー 企業としては優秀な人材の採用に対し即時的かつ柔軟な契約ができる点が魅力的ですね。最後になりますが、これから10年で働き方はどのように変化していくとお考えですか?

まず、前提として2018年にモデル就業規則が変更となり複業が解禁されたことが契機となり、複業がブームになっている現状があります。

そして、このブームは一過性のものではなく、10年後までに文化となり法整備も整えられていくと考えています。

その背景には「個人」と「企業」の価値観やライフスタイルの変化が存在します。

「個人」としては、働き方改革や生産性の向上により、スキルや経験を外でも活かせる時間=「複業の余白」が生まれつつあります。

「企業」としては、新型コロナ危機の影響でより固定費をコントロールすることの重要性やリモートワークの必要性を感じるようになっていくでしょう。

また、景気が悪くなればなるほど企業は固定費のかかる採用を控えるようになりますが、事業を成長させる上で人が必要になり採用はしないといけないというジレンマに陥っていくと思います。

そうした環境にジャストフィットするのが「複業」だと考えています。
複業こそが働き方のもう一つの選択肢となり、個人の大きな挑戦をするための架け橋になると思っています。

ー なるほど。これがAnother worksの掲げる「挑戦するすべての人の機会を最大化する」というミッションにつながっていくということですね。これからのAnother worksの展開を大いに期待しております。本日はお忙しい中、貴重な話をうかがえてありがとうございました!

執筆:Voix biz 編集部

取材対象企業:Another worksの情報

会社名:株式会社Another works
会社URL:https://aw-anotherworks.com/

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